2017年5月26日金曜日

家の神


こんばんは。
今日は「家の神」(文=鶴見俊輔、写真=安達 浩/淡交社)を読みました。

この本は1972年に刊行された本を再編集し、1999年に発売されたもの。戦前は、家は代々住み継ぐもので、家の中心の大黒柱は毎日磨き、家のあちらこちらに神さまの存在を感じるものだったそうです。「家をたましいのないモノ、使いすてできる品物として見る現代人の考え方をこえる知恵がこもっていた」とは著者の弁。でも、決して懐古主義ではなく、ある家、または家庭で起きた事実を反芻しながら、現代の家や家庭のあり方を考えるヒントを与えてくれます。人間の形成には時代背景や家族(もしくは血の繋がり関係なく、共に暮らす人)の有り様が最も大事、と。時代がおしつける「これが理想の家族」という家族像ではなく、人間同士の思いやり、みたいなものが大切なのだ、と読み取りました。住む人の心が一番大事。でも、その人間を入れる器としての家は、住む人の心や住人同士の関係性を生み出す一因になります。風雨を凌ぐ以上の役割が、住まいにはあると思うのですよね。

それにしても、ペーター・キュルテンという人の人生の話は強烈でした。
強烈すぎてここでは書けませんので笑、ご興味ある方はこの本を是非読んでみてください。http://amzn.asia/6SUgQUs

著者の故・鶴見俊輔氏は「家の会」というサークルを開いていたそうで、この本もその活動から生まれたそうです。私も「家の会」を開いて、皆さんと「家」について語りたい、と思う夜です。(み)